フルハム稲本トップ下の訳

 日本でのプレーで稲本選手はボランチとしての地位を確立した。しかく昨年移籍したアーセナルでは左サイド、今期フルハムではトップ下とボランチでのプレーは見られない。
 私自身、稲本選手はこれからのボランチ像としてイメージしていた。フィジカルが強く、ロングボールでゲームを創ることもでき、自らゴール前に進出して得点を取ることもできる。

 しかし、今年稲本選手のポジションはトップ下だった。点の取れるMFだからトップ下で使っているのだろうか。

 アーセナルの練習に帯同したスポーツライターの三浦さんから聞いた言葉は衝撃だった。
 「稲本はなんでトップ下か分かる?」「稲本一人ではアンリやビルトールは止められんよ。だってあいつら岩やぞ」三浦さんが言うには日本でフィジカルが強いと思われた稲本選手はプレミアリーグでは貧弱だったのだ。言われてみれば・・・、そう考えたことはなかっただけに選手というものを見直すいい機会になった。

 そこでここのところ日記に書き込んでいるようにヨーロッパで日本人のDFがプレーしているところをみたいということにつながっているのだ。

 トルシエ日本代表が組織的な守備で戦ってきた。それは個々の守備能力のなさを補った結果の戦術だった。
 ジーコ日本代表では秋田・松田・名良橋・中西と身体能力の高い選手がDFとして選ばれた。ジャマイカ戦、中盤との守備でのコンビネーションがうまくとれず簡単に突破されることになった。アルゼンチン戦、福西と中田浩二をボランチにおきラインの統制のとれたディフェンスラインは一定の成果があった。というより前半に限っていえば素晴らしい出来だった。秋田・松田も強さを見せた。

 ジーコジャパンでは個々の強さが求められる。これこそが2006年W杯で結果を残すために重要なことである。これまで組織で補った個々の弱さを個人の力を伸ばすことで解決する。世界の強国はDFラインの3人だけで守りきってしまうような印象を受ける。このDFの強さを日本代表が身に付けたとき日本代表は結果を残すことができる。