アルゼンチンからの便り

アルゼンチンで頑張ってる日本人選手の話を聞いた。
今はアルゼンチンではなく別の国で試合に出場して活躍しているそうだ。

試合にもコンスタントに出場しており評価も高いそうだが、一つ大きな問題が起きているらしい。

金銭面での問題らしいが、自分達の主張を通すために周りの人間に迷惑をかけてしまったそうだ。そのため彼等には来期の所属チームがないということになるらしい。

ここで思い出したことがある。

よく聞く選手の主張に「監督と合わない、だから移籍する(サッカーをやめる)」というのがある。自分が指導していたときの立場で言わせてもらうと、はっきりいって嫌いだと思う選手は一人もいない。言うことを聞かない選手もいるし、難しい選手もいる。でも嫌いだから使わないということは絶対にない。指導者の立場からいって大事なのはやはり「試合で貢献してくれる選手」かどうか。性格とかそういうことではない。

以前、埼玉選抜の先生からこう言われたことがある。「佐藤悠介(現セレッソ大阪)みたいな選手をなんで使うんだ?」高校時代の彼は自己主張が強く見る角度によっては扱いづらいダメ選手に見えたらしい。しかし当時から彼の能力に疑うところは無かった。そのどうしようもないと見える選手を使い続け育てた監督がいるのだ。

何を持って自己主張というのか?選手にとってグラウンドの上での自己主張はどんどんやって欲しい。監督は言うことを聞くだけの選手を待っているのではない。そういう選手にゲームを決める力が無いことのほうが多いのは誰もが知っていることだから。

今回の話、彼等はまだ自分の力でチャンスをものにしたわけではない。周りの大きな支援があって小さなチャンスをつかんだに過ぎない。周りの人間はこんなレベルで満足して欲しくなかったはずだ。しかし彼等は少しの結果がでたばっかりに見返りを求めてしまった。

周りの人間の大きな期待と本人の小さな満足度のギャップ。若い彼等が数年間我慢してきたのは理解できる。でもまだまだ発展途上のはず。まだまだ我慢して欲しい。

周りの信頼をなくしてしまった今、彼等がすることは日本に帰ってきてサッカーをすることではない。大きな期待をもって彼等に接してくれた人ともう一度信頼関係を取り戻すことだ。今回世話をしてくれた人は世界で一番君達に期待をしていた人のはずだ。裏切って逃げるのは簡単。でももう一度信頼関係を取り戻せるよう一からやり直して欲しい。

でなければせっかくここまでやってきたことが、この数年間が無駄なものになってしまう。

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アルゼンチンにいる選手に書いているつもりだったが自分に置き換えてみると自分も同じかもしれない。初心に戻ってやり直そう。